A1Fのメンテナンス
久しぶりにA1Fの中を覗いてみたところ、

何かこぼした訳でもないのに濡れているように見えます。
現状、映像出力などに異変は感じられませんがとりあえず、ホコリを取ってよく確認してみます。

やっぱり何か染み出している感じです。コンデンサの液漏れですかね。場合によってはパターンが消失することもあるらしいですが、動作には影響していない程度の被害なので運が良かったのかもしれません。
この状態でコンデンサを取り替えてみてもいいのですが、作業もしやすいし、興味があったのでハイブリッドICごと取り外してみました。
下のパターンはこんな感じです。

ちなみにハイブリッドICの裏側です。

コンデンサをよく見てみます。

小さいのが2つ10uF16V、大きいのが100uFで

耐圧は6.3Vとありました。

ホットエアーでコンデンサを取り外し、IPAで清掃しました。
しかしホットエアーはいいですね。中華製の安いやつですが、あるのと無いのじゃ大違い。はんだ吸取器より出番が多いかもしれません。
コンデンサチェック
コンデンサの状態はどんなもんかなと、容量を測ってみました。

意外です。壊れていません。容量もほぼ10uF。30年経っても容量変化があまりないものもあるようです。

こちらも大丈夫そう。一応無事でもこの3つのコンデンサは液漏れの危険性があるものらしいので、取り替えてしまいますが。

多分こいつでしょうかね、液漏れしてたのは。100uFなのに7uFしかありません。更には計測値が一定せず、フラフラ表示が変わってしまいます。まともに計測できていない感じです。
取り替え完了

手持ちにあった10uFのコンデンサと、100uFが無かったので220uFのコンデンサに取り替えました。
取り替え前と後で画像はどう変化したか、キャプチャ画像を確認してみます。








もともと映像的におかしい部分が無かったせいか、変化は感じられません。
回路的な話
※注:電子工作は好きなのですが、そこまで詳しいわけではないので間違っていたりするかも

左のSONY製のチップ、A1145と書かれていますがRGBエンコーダのCXA1145Mと同一のチップだとか。
このハイブリッドICでは音声のミキシングも行っているようです。右下のセラミックコンデンサが4つ並んでいる箇所からPSGや1bitサウンドポート、スロットからの音声が入り、ミキシング後CXA1145Mに入ってアンプを通過し、その出力が1KΩを通って、今回交換した10uFのコンデンサに繋がっています。
もう一つの10uFはCXA1145MのVREFに接続されています。データシートには10uF程度のコンデンサで接地するようにと書かれていたので、そこまで正確さは必要ないのかもしれません。
今回壊れていた100uFはCXA1145MのVCCに接続されたデカップリングコンデンサでした。
おまけ
コンデンサを張り替えた後、ネットで調べていたらHB-F1XDのサービスマニュアルにこのハイブリッドICの回路図がまるまる載っているという情報を見つけました。
自分で回路を追う必要は無かったわけですが、よく見るとCXA1145Mの音声出力先のコンデンサと抵抗の順番が違います。
またミキシングの抵抗値も違います。スロットからの抵抗値はHB-F1XDが220KΩ、A1Fが150KΩなのでパナ機はSCCの音が大きいと言われる理由がわかります(ということは150KΩを220KΩに替えるとHB-F1XDと音量バランスが同じになりそうです)。
なので完全に同一の回路では無いのかもしれませんが、この回路図を見れば液漏れでパターンが消えてもなんとかなりますね。
サービスマニュアルはHB-F1XD service manualで検索したらすぐ出てきました。