アップスケーラ HD-VC9900(2) コンポーネント入力の追加
GBS8200を持っていたら、コンポーネント入力がどこへどう繋がるのか分かったと思うのですが、残念ながら持っていません。
そこで、信号を受けるチップであるTRUEVIEW5725のデータシートとネット上にあるGBS8200の画像を見て回路図を想像してみました。

幸いC37、C35、C34、C30のコンデンサは実装されているので200Ωと75Ωの抵抗を付けて配線するだけで良さそうです。
配線してみた結果、思惑通りコンポーネント入力が映るには映ったのですがノイズが酷い有様です。ファミコンのRF接続を思い起こさせるようなノイズです。
このページにはノイズの改善方法も書いてあったので、C11のコンデンサを電解コンデンサに変更、10uFセラミックコンデンサをC23、C41、C42、C48に追加、それに基板裏に銅テープ貼り付けてGNDに接続なんかも試してみましたがノイズは変わらず。
色々試した結果どうも配線が悪かった様子で、GNDの位置を変え、200Ω、75Ωを5725の近くに設置することで何とかノイズのほぼ無い状態にすることができました。
ノイズの原因が配線の取り回しだったので、コンデンサ変更、銅テープ貼り付けの効果は分からずじまいです。

現状こんな感じで配線しました。(C37は取り外して容量を測っていたら弾いてしまい行方不明になったので、別のコンデンサを貼り付けています)

※wiiのD端子出力をコンポーネントに変換して入力した画面。大きなノイズは消えました。
HDMIの音声追加
色々弄っているうちに、TVに接続した時にはそのまま音声をHDMIから再生した方が便利かもと思うようになりました(メインの環境は音声をRCAコネクタからアンプ、スピーカーと繋ぐので何の問題も無かったのです)。
調べるとHDMIに変換しているチップはMS9282というところまでは分かったのですがデータシートを探しても見つかりません。
どうやらデータシートを公開していないようです。
音声に関しては手詰まりかと思ったのですが、ネットには凄い方もいるものでADCを繋げて音を出した方がいらっしゃいました。
同じ回路にしようと思いましたが同じADCが手に入らず、秋月電子で手に入るPCM1808で試してみることになりました。
下調べとしてMS9282の丸印から反時計周りに数えて4番ピンを調べてみると、約12MHzのクロックが出ています(5番ピンはH。6、7番ピンはL)。
ということは、PCM1808の設定を256fsにすると48KHzのサンプリング周波数ということになるみたいです。
回路図は以下のようにしました。

3.3VはVC9900の方から取ろうかとも思いましたが、念の為レギュレータで生成しています。

配線はこんな具合。配線材はUEW0.2mmです。ピンの番号は画像にあるように数えています。
5番から7番ピンは抵抗の箇所から、4番ピンはしょうがないので直接繋ぎました。
で、普段使用しているモニタでテストしてみたところ音が出ません。
1日程考え込みましたが分からず、ふとTVに繋ぐと音が出ていました。
もしやと思いPC用モニタ3台でテストしたところ、音声設定が無く音が出ないのが1台、設定を変更すると出たり出なかったりしたのが1台、何も設定する箇所がなくそのまま出るのが1台という結果でした。
音声が出ないモニタもswitchやPCからの音は出るので、MS9282で何か設定を変更すれば出るようになる気がしますが詳細は不明なのでそのままにします。
RGB調整の半固定抵抗について
gbs-controlではオートゲイン機能で明るさが自動調整されることに加えて、半固定抵抗があると目一杯明るくした状態でも少し暗くなるので、取り外して直結しておくのが良いと書かれています。
ところがアーケード基板を繋げてみると、自動調整されたにも関わらず明るすぎる状態になります。
調整不要なのは家庭用ゲーム機の話で、アーケード基板では調整が必要みたいですね。
家庭用でもアーケード基板でも使いたいので、以下のようにロータリースイッチで切り替えるようにしました。
カチャッと回すだけで明るさが変更できるので結構便利です(半固定抵抗はVC9900のものを流用)。

遅延
gbs-controlにすると遅延が数ライン、インターレースで1フレームらしいですが、それはVGA出力までで、VC9900はその先にHDMI変換があるのでいくらか遅延が乗っているはずです。
どれほど遅延するのか、実際に計測してみました。おおよその見当にはなるかと思います。
測定方法はMSXのジョイスティックのトリガを押すとLEDも光るものを作り、トリガーが押されたら表示を変えるプログラムを作成。モニタにそれを映し出しLEDと一緒に動画撮影するというもの。
960fpsで撮影したのでMSXの1フレームを16コマで撮影することになり、ある程度はしっかり計測できていると思います。
右のキャラクタは垂直割り込み毎に切り替え、左のキャラクタはトリガが押されると○表示になります。
動画は60fpsで再生されるので1/16のスロー再生です。
LEDに変化が現れた時点を0としてカウント開始し、モニタに変化が現れた時点でカウント終了しています。カウントは遅延したコマ数となります。
結構ばらつきがありますが、3回目の垂直割り込み(タイミング次第で2回目の垂直割り込み)で変化が現れるように見えます。
最速は30コマ=1.875フレーム、最遅は45コマ2.8125フレーム。平均は36.25コマ約2.7フレーム。
モニタ側でも遅延があるかもしれないので、VC9900の遅延のみの数値かどうかは不明です。計測環境のモニタに表示されるまでの、トータルの遅延ということになります。
まとめ
最終的にHDMIで接続するだろうからと、最初からHDMI変換が組み込まれているHD-VC9900を選んだのですが、コンポーネント入力追加や、HDMI音声の改造などを考えると、普通にGBS8200で良い気がしています。GBS8200ならコンポーネント入力は付いているし、HDMIコンバータは任意の音声が入力できるタイプを選べばいいわけなので…。
まぁ、機能的には十分役に立つので問題は無いのですが。